【初夏号】淡い想い出

「フーテンの寅さん」はよく観に行きました。

 

ドジなコトをしたり、フラれたりの場面になると、観ている人がドッと笑います。

 

しかし笑えぬ僕がいました。

 

 

寅さんは、人が好くて、情にもろくて、どこか抜けている。

 

そんな寅さんを、自分よりもマヌケで、ドジな人間だという優越感で笑っているように思えて、僕はとても笑えなかったのです。

 

いっしょに観に行っていた友達に、お前可笑しくないのか?と怪訝そうに問われ、イヤ~そんなことはないよと思わずゴマ化していました。

 

 

当時僕は、青雲の志?を持って勤めを辞めたのは良いけれど、現実の厳しさにぶつかる度に自信を無くし、フラフラの生活を送っていました。

 

そんな僕ですから、仕事も上手くいかず、つき合っていた彼女にもフラれ、何とかしたいという気持ちだけは人一倍強く、思うようにならないやるせない気持ちの中でした。

 

そんな僕にとって、寅さんが笑われるのは、まるで自分が笑われている様でたまらなかったのだと思います。

 

みんなが笑えば笑うほど悔しくなったのを今でもよく覚えています。

 

 

そんな僕に一歩進むことの転機が訪れ、存在を認めて貰えるまで続いていた青春の「淡い想い出」です。

この記事を書いた人

山本幸治

山本幸治

内子生まれで双海育ち。自動車整備士に憧れ、愛媛ダイハツが社会人のスタート。3人の娘と8人の孫。B型、戌年。39歳で独立。「真心こめた確かなサービス」を理念に掲げ、現在に至る。趣味は、読書、歴史散策、俳句、居合道、そばの栽培を含む家庭菜園など、そば打ちと日本酒愛の会員。

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